2017年11月5日日曜日

『Soft Rock A to Z』との出会い

ソフトロック好きにとってのバイブル的ディスクガイド『Soft Rock A to Z』を監修された佐野邦彦さんが先日お亡くなりになりました。今回の投稿は、ソフトロックやこの本に出会ったことについて。(カワズ)


僕がソフト・ロックに夢中になるきっかけとなったのは、1998年に出版された『Soft Rock A to Z』のニューエディション(増補改訂版)に出会ってから。当時大学で軽音楽部に所属し、ビートルズから連なるメジャーなロックを中心に聴いていた僕にとって、ソフトロックとの出会いはとても刺激的なものでした。

この本の巻頭カラーで紹介されている数十枚のソフトロックな名作群は、今でこそその大半をCDで入手することができますが、当時はほとんどリイシューされていませんでした。そのため、中古レコードショップでオリジナルの輸入盤LPを見つけては新譜CDの倍近くの値段で購入していたように記憶しています。

『Soft Rock A to Z』で紹介されているのは、主に1960年代後半から1970年代前半にかけての洗練されたポップミュージックです。コーラスワークの美しいイージー・リスニングやジャズ・ボーカルに近いもの、快活とした子供向けポップス、メロディセンス抜群のシンガー・ソングライター作品、サイケデリックで実験性を感じる音楽、ボサノヴァ~ブラジリアンテイストが顕著なもの。



僕個人としては、この本をきっかけに古今東西の様々なジャンルの音楽を掘り下げていったと言っても過言ではありません。つまり今になって思えば、単なる「専門的なディスクガイド」以上の存在として、僕の過去20年の充実したリスニングライフを決定づけた一冊だったとしみじみ実感しています。
そして、ラジオ番組でソフトロックを紹介させて頂いたり、ソフトロックを中心としたDJイベントに参加させて頂くなど、音楽を通じたたくさんの繋がりも生まれました。

直接お会いするような関係ではありませんでしたが、佐野邦彦さんにはたくさんの音楽や人との出会いを頂いたと思っています。ありがとうございました。

'Someday Man' by Paul Williams