2017年12月17日日曜日

日々の余韻アーカイブス(その12)〜日本の音楽〜

2013年4月12日から2014年2月13日までの1年弱の間、僕はTwitterやFacebook上で、【日々の余韻】というタイトルの投稿を毎日行っていました。基本的に日々の投稿は短めのディスクレビュー。それと月に一回程度、コラム的に長めの文章を書いていました。
今日は【日々の余韻】で書いた記事のうち、日本人音楽家のアルバムを4枚ピックアップしました。(カワズ)



2013年9月27日 【日々の余韻 Daily Afterglow 169】
長谷川きよし 『アフター・グロウ』


盲目のシンガー、長谷川きよしの通算9枚目のアルバム。かまやつひろしが作曲を手掛けたシティポップの傑作「ベイビイ」をはじめ、時代を感じさせないハイセンスな楽曲が並ぶ一枚です。あべ静江に提供した「Too Happy」のセルフカバーは、イントロや間奏のメランコリックな世界観とビタースイートな旋律が沁みるジャパニーズ・ライトメロウ。
長谷川きよし 「ベイビイ」

2013年12月28日 【日々の余韻 Daily Afterglow 253】
河名伸江 『のぶえの海』


1974年6月、二十歳の誕生日にこの世を去ったシンガー・ソングライター、河名伸江。彼女が生前に自主製作で録音した作品集は、2013年の再発盤の中で、個人的に最も衝撃を受けたアルバムです。純朴さの隙間から滲み出る、翳りある旋律に感涙。タイトルは演歌みたいですが、だまされたと思って聴いてみてください。彼女が紡いだ、繊細で儚い世界の残響に触れることができます。


2014年1月8日 【日々の余韻 Daily Afterglow 264】
高山厳 『この世には愛がなさすぎる』


90年代に演歌歌手へと転向したシンガー・ソングライター、高山厳。「雨」は、彼のソロデビュー作『この世には愛がなさすぎる』に収録された名曲です。雨の中でそっと揺らめくピアノとナイーヴな歌声が、疲れた心を優しく癒す歌。アルバムジャケットの佇まいも素敵です。

2014年1月12日 【日々の余韻 Daily Afterglow 268】
八代亜紀 『夜のアルバム』


昨日、真夜中に聴いたこのアルバムを、あらためて真昼間に聴いてみた。昨晩聴こえた何かがそこには無かった。夜の自室に漂った、マジカルな何か。音楽はパッケージされた瞬間から場所や時間や季節や天候に選ばれる、というある種の前提を、この作品は見事に覆した。これは、選ばれる音楽ではない。自ら選ぶのだ。自ら、真夜中を選んだのだ。
八代亜紀 「Fly Me to the Moon」